アカデミー賞は、映画界最高の栄誉として世界中から注目を集めるイベント。その中でも主演男優賞・主演女優賞は、名優たちがキャリアの頂点として手にする特別な賞です。
本記事では、第1回から最新の2025年(第97回)までの歴代受賞者を一覧でまとめました。
時代ごとに変化する映画の流れや、名演を生み出した俳優たちの歩みを振り返りながら、ハリウッドの輝かしい歴史を見ていきましょう。
歴代の名前を追えば、今なお色あせない俳優たちの魅力にきっと出会えるはずです。
アカデミー賞主演男優賞・主演女優賞とは
アカデミー賞の主演男優賞・主演女優賞は、前年にアメリカの特定地域で公開された映画を対象に、その年もっとも印象に残る演技を見せた俳優に贈られる賞です。
まさに映画界を代表する名誉あるタイトルといえます。主演を務める俳優は、作品の顔ともいえる存在。彼らの演技次第で映画の印象が大きく変わるため、その評価は映画界にとって非常に重要です。
選考は映画芸術科学アカデミーの会員による投票で決まり、演技力だけでなく、役柄への向き合い方や作品全体への貢献度なども含めて総合的に判断されます。
だからこそ主演賞を受賞することは、単なる「演技が上手い」の証明にとどまらず、俳優としてのキャリアや地位を確かなものにする大きなステップになるんです。
アカデミー賞で振り返る、名演技の流れ
アカデミー賞の主演賞を振り返ると、その時代ごとの映画の流れや俳優たちの演技スタイルの変化が見えてきます。
初期の舞台的な演技から、社会派ドラマでのリアルな表現、さらには国際色豊かな演技まで、賞の歴史はまさに名演技の流れそのもの。
受賞作をたどることで、映画史の移り変わりや時代背景を感じられるのも大きな魅力です。
1920〜1940年代:初期のスター俳優と古典的演技
1920〜1940年代は、ハリウッド黄金期とも呼ばれ、主演俳優のスター性が重視された時代です。
舞台的でクラシカルな演技が主流で、演技力はもちろん、画面に映える存在感も評価のポイントでした。
名優たちの華やかな演技は、映画の魅力を大きく引き立て、観客に強い印象を残しました。
1950〜1970年代:社会派演技、リアルな人物描写の登場
1950〜1970年代になると、社会的テーマを扱った作品やリアルな人物描写が増え、演技スタイルもより自然体へとシフトします。
俳優は役作りのために体型を変えたり、徹底的に役柄を研究したりと、より深い表現力が求められるようになりました。
この時代の受賞作からは、映画を通して社会を映し出す力や、人間の感情のリアルさを感じ取ることができます。
1980〜2000年代:国際化、演技スタイルの多様性
1980年代以降は、国際的な俳優や作品が増え、演技スタイルも多様化。リアリズムだけでなく、即興的な演技や独自のアプローチを取り入れる俳優も登場しました。
多様なバックグラウンドを持つ俳優たちの名演技が評価され、アカデミー賞はその時代の映画界の変化を映す鏡としての役割をさらに強めています。
2010〜現在:多様性とモダンなスター像の広がり
2010年代以降は、アカデミー賞でも多様性が強く意識される時代になりました。人種や性別、バックグラウンドの異なる俳優たちが主演賞を受賞し、表現の幅もぐっと広がっています。
また、リアリズムだけでなく、デジタル技術や新しい演出手法を取り入れた作品も増え、俳優たちの演技力の見せ方も多彩に。
映画ファンとしては、現代の主演賞受賞作を観ることで、時代ごとの映画の変化や俳優の進化を実感できる時代です。

主演賞の歴史をたどると、映画の楽しみ方が広がりますね!昔と今で演技の雰囲気が全然違って面白い!
【保存版】歴代主演男優賞・主演女優賞一覧(第1回〜最新)
ここからは、アカデミー賞の歴史を彩った名優たちの歴代受賞者を一覧でご紹介します。
回ごとに受賞者の名前を整理し、年代ごとに区切っているので、時代ごとの演技スタイルの変化や映画界の潮流も分かりやすくなっています。
一覧を眺めながら、俳優たちの輝かしい業績や名演技の軌跡をじっくり振り返ることができます。
映画ファンはもちろん、アカデミー賞の魅力をこれから知りたい方にもぴったりの内容です。
1920〜1940年代:映画黄金期のスターたち
映画産業が急速に成長し、ハリウッド黄金期と呼ばれたこの時代。
スター俳優たちの華やかな演技とクラシックな演技スタイルが花開き、主演賞も注目を集め始めました。映画の魅力が広まる第一歩となった時代です。
回数 | 主演男優賞 | 主演女優賞 |
---|---|---|
第1回 | エミール・ヤニングス | ジャネット・ゲイナー |
第2回 | ワーナー・バクスター | メアリー・ピックフォード |
第3回 | ジョージ・アーリス | ノーマ・シアラー |
第4回 | ライオネル・バリモア | マリー・ドレスラー |
第5回 | ウォーレス・ビアリー フレデリック・マーチ (同時受賞) | ヘレン・ヘイズ |
第6回 | チャールズ・ロートン | キャサリン・ヘプバーン |
第7回 | クラーク・ゲーブル | クローデット・コルベール |
第8回 | ヴィクター・マクラグレン | ベティ・デイヴィス |
第9回 | ポール・ムニ | ルイーゼ・ライナー |
第10回 | スペンサー・トレイシー | ルイーゼ・ライナー |
第11回 | スペンサー・トレイシー | ベティ・デイヴィス |
第12回 | ロバート・ドーナット | ヴィヴィアン・リー |
第13回 | ジェームズ・スチュアート | ジンジャー・ロジャース |
第14回 | ゲイリー・クーパー | ジョーン・フォンテイン |
第15回 | ジェームズ・キャグニー | グリア・ガースン |
第16回 | ポール・ルーカス | ジェニファー・ジョーンズ |
第17回 | ビング・クロスビー | イングリッド・バーグマン |
第18回 | レイ・ミランド | ジョーン・クロフォード |
第19回 | フレデリック・マーチ | オリヴィア・デ・ハヴィランド |
第20回 | ロナルド・コールマン | ロレッタ・ヤング |
第21回 | ローレンス・オリヴィエ | ジェーン・ワイマン |
第22回 | ブロデリック・クロフォード | オリヴィア・デ・ハヴィランド |
1950〜1970年代:社会派とリアリズムの時代
社会の変化を映し出すリアルな演技が求められたこの時代。
主演男優賞・主演女優賞には、より人間味あふれる深い演技が評価されるようになりました。映画のテーマも多様化し、社会派ドラマが台頭してきた時期です。
回数 | 主演男優賞 | 主演女優賞 |
---|---|---|
第23回 | ホセ・フェラー | ジュディ・ホリデイ |
第24回 | ハンフリー・ボガート | ヴィヴィアン・リー |
第25回 | ゲーリー・クーパー | シャーリー・ブース |
第26回 | ウィリアム・ホールデン | オードリー・ヘプバーン |
第27回 | マーロン・ブランド | グレース・ケリー |
第28回 | アーネスト・ボーグナイン | アンナ・マニャーニ |
第29回 | ユル・ブリンナー | イングリッド・バーグマン |
第30回 | アレック・ギネス | ジョアンヌ・ウッドワード |
第31回 | デヴィッド・ニーヴン | スーザン・ヘイワード |
第32回 | チャールトン・ヘストン | シモーヌ・シニョレ |
第33回 | バート・ランカスター | エリザベス・テイラー |
第34回 | マクシミリアン・シェル | ソフィア・ローレン |
第35回 | グレゴリー・ペック | アン・バンクロフト |
第36回 | シドニー・ポワチエ | パトリシア・ニール |
第37回 | レックス・ハリソン | ジュリー・アンドリュース |
第38回 | リー・マーヴィン | ジュリー・クリスティ |
第39回 | ポール・スコフィールド | エリザベス・テイラー |
第40回 | ロッド・スタイガー | キャサリン・ヘプバーン |
第41回 | クリフ・ロバートソン | キャサリン・ヘプバーン バーブラ・ストライサンド |
第42回 | ジョン・ウェイン | マギー・スミス |
第43回 | ジョージ・C・スコット | グレンダ・ジャクソン |
第44回 | ジーン・ハックマン | ジェーン・フォンダ |
第45回 | マーロン・ブランド | ライザ・ミネリ |
第46回 | ジャック・レモン | グレンダ・ジャクソン |
第47回 | アート・カーニー | エレン・バースティン |
第48回 | ジャック・ニコルソン | ルイーズ・フレッチャー |
第49回 | ピーター・フィンチ | フェイ・ダナウェイ |
第50回 | リチャード・ドレイファス | ダイアン・キートン |
第51回 | ジョン・ヴォイト | ジェーン・フォンダ |
第52回 | ダスティン・ホフマン | サリー・フィールド |
1980〜2000年代:多様化と国際化が進む時代
映画ジャンルの幅が広がり、国際的な視点も増していったこの時代。
主演賞の受賞者も世界中から選ばれるようになり、演技スタイルの多様性が際立ちました。新しい才能が次々と現れ、映画界が大きく変化した時期です。
回数 | 主演男優賞 | 主演女優賞 |
---|---|---|
第53回 | ロバート・デ・ニーロ | シシー・スペイセク |
第54回 | ヘンリー・フォンダ | キャサリン・ヘプバーン |
第55回 | ベン・キングズレー | メリル・ストリープ |
第56回 | ロバート・デュヴァル | シャーリー・マクレーン |
第57回 | F・マーリー・エイブラハム | サリー・フィールド |
第58回 | ウィリアム・ハート | ジェラルディン・ペイジ |
第59回 | ポール・ニューマン | マーリー・マトリン |
第60回 | マイケル・ダグラス | シェール |
第61回 | ダスティン・ホフマン | ジョディ・フォスター |
第62回 | ダニエル・デイ=ルイス | ジェシカ・タンディ |
第63回 | ジェレミー・アイアンズ | キャシー・ベイツ |
第64回 | アンソニー・ホプキンス | ジョディ・フォスター |
第65回 | アル・パチーノ | エマ・トンプソン |
第66回 | トム・ハンクス | ホリー・ハンター |
第67回 | トム・ハンクス | ジェシカ・ラング |
第68回 | ニコラス・ケイジ | スーザン・サランドン |
第69回 | ジェフリー・ラッシュ | フランシス・マクドーマンド |
第70回 | ジャック・ニコルソン | ヘレン・ハント |
第71回 | ロベルト・ベニーニ | グウィネス・パルトロー |
第72回 | ケヴィン・スペイシー | ヒラリー・スワンク |
第73回 | ラッセル・クロウ | ジュリア・ロバーツ |
第74回 | デンゼル・ワシントン | ハル・ベリー |
第75回 | エイドリアン・ブロディ | ニコール・キッドマン |
第76回 | ショーン・ペン | シャーリーズ・セロン |
第77回 | ジェイミー・フォックス | ヒラリー・スワンク |
第78回 | フィリップ・シーモア・ホフマン | リース・ウィザースプーン |
第79回 | フォレスト・ウィテカー | ヘレン・ミレン |
第80回 | ダニエル・デイ=ルイス | マリオン・コティヤール |
第81回 | ショーン・ペン | ケイト・ウィンスレット |
第82回 | ジェフ・ブリッジス | サンドラ・ブロック |
2010年代〜現在:多様性と新しい表現の広がり
ジェンダーや人種など多様性が重視され、表現の幅も広がった現代。
主演男優賞・主演女優賞の受賞作は、社会問題を扱うものや実験的な作品も増え、映画の可能性を大きく広げています。新しいスター像が生まれる時代です。
回数 | 主演男優賞 | 主演女優賞 |
---|---|---|
第83回 | コリン・ファース | ナタリー・ポートマン |
第84回 | ジャン・デュジャルダン | メリル・ストリープ |
第85回 | ダニエル・デイ=ルイス | ジェニファー・ローレンス |
第86回 | マシュー・マコノヒー | ケイト・ブランシェット |
第87回 | エディ・レッドメイン | ジュリアン・ムーア |
第88回 | レオナルド・ディカプリオ | ブリー・ラーソン |
第89回 | ケイシー・アフレック | エマ・ストーン |
第90回 | ゲイリー・オールドマン | フランシス・マクドーマンド |
第91回 | ラミ・マレック | オリヴィア・コールマン |
第92回 | ホアキン・フェニックス | レネー・ゼルウィガー |
第93回 | アンソニー・ホプキンス | フランシス・マクドーマンド |
第94回 | ウィル・スミス | ジェシカ・チャステイン |
第95回 | ブレンダン・フレイザー | ミシェル・ヨー |
第96回 | キリアン・マーフィー | エマ・ストーン |
第97回 | エイドリアン・ブロディ | マイキー・マディソン |
主演賞にまつわるトリビア&記録
アカデミー賞の主演男優賞・主演女優賞には、たくさんの面白いトリビアや記録があります。意外なエピソードや歴代受賞者の驚きの記録を知ると、映画賞の楽しみ方がもっと広がりますよ。
ここでは主演賞にまつわる代表的なトリビアや記録をまとめて紹介します!
トリビア編(豆知識)
俳優ダニエル・デイ=ルイスは、アカデミー賞主演男優賞を3度受賞した唯一の存在。圧倒的な演技力が評価され、伝説的な記録を打ち立てました。
女優キャサリン・ヘプバーンは、アカデミー賞主演女優賞を史上最多の4回受賞した名女優です。
しかし一度も授賞式に姿を見せなかったことから、“欠席の女王”とも呼ばれています。その独自のスタイルもまた、彼女の伝説の一部となっています。
アカデミー賞のトロフィーは、正式には「アカデミー功労賞」と呼ばれていますが、私たちが普段「オスカー」と呼んでいるのは有名な通称です。
この呼び名の由来にはいくつかの説があり、その中でもよく知られているのが、当時アカデミー賞事務局のマーガレット・ヘリック局員が像を見て、
「私のおじさんのオスカーに似ている」
と言ったことから広まった、というものです。その後、業界内で自然と「オスカー」という呼び名が定着し、1939年には正式にこの愛称を使用するようになりました。
いまでは “オスカー像” といえば世界中で通じるほど有名になり、アカデミー賞のシンボルとして親しまれています。
アカデミー賞といえば、あの金色に輝くオスカー像を思い浮かべる人も多いはず。では、その像にはモデルがいることをご存じでしょうか?
実は、1928年にアートディレクターだったセドリック・ギボンズがデザインを担当し、メキシコ人俳優のエミリオ・フェルナンデスがモデルになったと言われています。
剣を持ち、堂々と立つ姿は映画界の栄誉を象徴するものとして、長年愛されてきました。
ただし、誰が最初のモデルだったかについては諸説あり、明確には分かっていません。公式には「特定のモデルはいない」とされることもあります。
だからこそ、オスカー像にはちょっとしたミステリーな魅力もあるんですよね。
アカデミー賞で授与されるオスカー像の重さは、3.86kg。
意外とずっしりしていて、受賞者が「思ったより重い!」と驚くことも多いそうです。



実はオスカー像って、台座込みで高さ34.3cmあるんだって!トロフィーにしては意外と大きめ!
記録編


出典:映画.com
ダニエル・デイ=ルイス
1957- (68歳)
出身:イギリス
ダニエル・デイ=ルイスは主演男優賞を3回受賞しており、このカテゴリでは最多記録を保持しています。
- 『マイ・レフトフット』(1989)
- 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)
- 『リンカーン』(2012)
史上唯一の3回受賞!演技のために役に “なりきる” ことで有名。撮影中もずっと役を維持する“徹底した役作り”のスタイルで、ハリウッドの伝説的俳優。


出典:映画.com
キャサリン・ヘプバーン
1907–2003(96歳没)
出身:アメリカ/コネチカット
キャサリン・ヘプバーンは主演女優賞を4回受賞しており、こちらもカテゴリー最多記録です。
- 『勝利の朝』(1933)
- 『招かざる客』(1967)
- 『冬のライオン』(1968)
- 『黄昏』(1981)
女優で4回受賞したのは彼女だけ!しかも、彼女は授賞式にあんまり出席しなかったことで有名で、“オスカー最多女優なのに壇上にほぼいない” という伝説的エピソードがあります。


出典:映画.com
アンソニー・ホプキンス
1937-(87歳)
出身:イギリス/ウェールズ
2021年、『ファーザー』でアンソニー・ホプキンスが 83歳で主演男優賞を受賞。
これは史上最年長での受賞となりました。当時はチャドウィック・ボーズマンの受賞が有力と見られていたこともあり、ホプキンスの受賞は大きなサプライズとして話題に。
一方、主演女優賞の最年長受賞者は『ドライビング Miss デイジー』の ジェシカ・タンディ(80歳)。こちらも堂々の記録です。


出典:映画.com
メリル・ストリープ
1949- (76歳)
出身:アメリカ/ニュージャージー
主演女優賞の最多ノミネートは、 メリル・ストリープ。主演女優賞だけで 17回もノミネートされ、そのうち 主演女優賞を2回受賞という圧倒的な記録を持っています。
そのキャリアは半世紀以上にわたり、数々のジャンルで名演技を披露。時代ごとの映画の流行や演技スタイルの変化を体現し、アカデミー賞の歴史を語るうえで欠かせない存在です。


出典:映画.com「戦場のピアニスト」
エイドリアン・ブロディ
1973-(52歳)
出身:アメリカ/ニューヨーク
主演男優賞の最年少受賞は エイドリアン・ブロディ。2003年の『戦場のピアニスト』で 29歳 にして主演男優賞を受賞し、アカデミー史上最年少記録を樹立しました。
若くして圧倒的な存在感を見せたブロディの演技は、多くの映画ファンに衝撃を与え、今でも語り継がれる名演となっています。



エイドリアン・ブロディは『戦場のピアニスト』で若くして主演男優賞を受賞。その後、2025年の第97回アカデミー賞でも再び主演男優賞を受賞し、俳優としての成長と実力の確かさを改めて感じさせますね。
まとめ
アカデミー賞の主演男優賞・主演女優賞を振り返ると、映画界の変化や名優たちの輝かしい演技の歴史が見えてきます。
1929年の第1回から2025年の最新回まで、時代ごとのトレンドや名演技を追うだけでも、映画の面白さを改めて実感できます。
この一覧を見ながら、気になる俳優の作品をチェックしたり、時代ごとの映画スタイルの違いを楽しんだりするのもおすすめです。
映画ファンはもちろん、これからアカデミー賞を知りたい人にも役立つ保存版まとめです!