アカデミー賞の中でも最高の栄誉とされる「作品賞」は、映画界で最も注目される賞のひとつです。
1929年に始まって以来、多くの名作がこの賞を受賞し、映画史にその名を刻んできました。このページでは、第1回から第97回までの歴代作品賞受賞作を一覧でご紹介します。
映画ファンはもちろん、これから映画の世界に足を踏み入れたい初心者の方にもおすすめの保存版リストです。
名作の数々を通して、映画の歴史や時代ごとの傾向を感じ取りながら、自分のお気に入りの一本を見つけてみてください。
アカデミー賞 作品賞とは?
アカデミー賞の中でもっとも栄誉ある賞が「作品賞」です。これは、その年に公開された映画の中で最も優れた作品に贈られる賞で、映画の質や完成度が評価されます。
映画界で最高の評価とされ、多くの映画ファンや業界関係者が注目する賞です。
選考は映画芸術科学アカデミーの会員によって行われ、作品のストーリー、演出、演技、撮影技術など総合的なクオリティが基準になります。
1929年に始まったアカデミー賞の中で、作品賞はその歴史と共に映画のトレンドや社会の価値観を映し出してきました。
作品賞受賞作は、その後の映画界に大きな影響を与え、多くの人に愛され続ける名作が多いのも特徴です。
アカデミー賞 作品賞の歴史をざっくり振り返る
アカデミー賞の作品賞は、映画の歴史とともに歩んできた長い伝統があります。時代ごとに映画のテーマやスタイルが変わり、それに合わせて受賞作の傾向も変化してきました。
ここでは、ざっくりと時代ごとの特徴や代表作を振り返りながら、アカデミー賞作品賞の歴史を見ていきましょう。
この時代は、大作やクラシックなドラマ映画が多く、豪華なセットやスター俳優の演技が注目されました。『風と共に去りぬ』(1939年)などが代表作です。
戦後の社会問題や人間ドラマに焦点を当てた作品が増え、映画の表現も多様化しました。『アラビアのロレンス』(1962年)や『ゴッドファーザー』(1972年)がその象徴です。
アクション、SF、ファンタジーなどジャンルが広がり、国際的な視点も取り入れられました。『タイタニック』(1997年)や『シンドラーのリスト』(1993年)が高く評価されました。
社会的メッセージや多様性をテーマにした作品が増え、配信サービス発の作品も注目されるように。『グリーンブック』(2018年)や『ノマドランド』(2020年)が話題になりました。

アカデミー賞作品賞は、映画の流れや時代背景を映し出す鏡のような存在なんですね!
歴代作品賞受賞作一覧表
ここからは、第1回から第97回までのアカデミー賞作品賞受賞作を一覧表でご紹介します。
映画タイトル、監督名、ジャンルなどをまとめているので、気になる作品をチェックしてみてください。
一覧を見ることで、映画の歴史やトレンドの変化も感じ取れます。名作を一気に振り返るのにぴったりの保存版リストです。
1920〜1940年代:ハリウッド黄金期(第1回〜第22回)
1929年にスタートしたアカデミー賞は、ハリウッド映画の品質向上と業界の発展を目的に創設されました。
この時代は、サイレント映画の時代から音声付き映画(トーキー)への大きな転換期を経て、ハリウッドが世界映画の中心地として確立した時代です。
大規模なスタジオシステムのもと、戦争大作、ロマンティック・コメディ、社会派ドラマ、歴史スペクタクルなど多彩なジャンルの名作が誕生しました。
アカデミー作品賞も、この黄金期の輝きを象徴する作品ばかりです。
開催 | 作品名 | ジャンル | 監督 |
---|---|---|---|
第1回 | つばさ | 戦争・ドラマ | ウィリアム・A・ウェルマン |
第2回 | ブロードウェイ・メロディー | ミュージカル | ハリー・ボーモント |
第3回 | 西部戦線異状なし | 戦争・ドラマ | ルイス・マイルストン |
第4回 | シマロン | 西部劇 | ウェズリー・ラッグルズ |
第5回 | グランド・ホテル | ドラマ | エドマンド・グールディング |
第6回 | カヴァルケード | 歴史・ドラマ | フランク・ロイド |
第7回 | 或る夜の出来事 | ロマンティック・コメディ | フランク・キャプラ |
第8回 | 戦艦バウンティ号の叛乱 | 冒険・歴史 | フランク・ロイド |
第9回 | 巨星ジーグフェルド | ミュージカル・伝記 | ロバート・Z・レナード |
第10回 | ゾラの生涯 | 伝記・ドラマ | ウィリアム・ディターレ |
第11回 | 我が家の楽園 | コメディ・ドラマ | フランク・キャプラ |
第12回 | 風と共に去りぬ | 恋愛・ドラマ | ヴィクター・フレミング |
第13回 | レベッカ | サスペンス | アルフレッド・ヒッチコック |
第14回 | わが谷は緑なりき | ドラマ | ジョン・フォード |
第15回 | ミニヴァー夫人 | 戦争ドラマ | ウィリアム・ワイラー |
第16回 | カサブランカ | 恋愛ドラマ・戦争 | マイケル・カーティス |
第17回 | 我が道を往く | 音楽・ドラマ | レオ・マッケリー |
第18回 | 失われた週末 | ドラマ | ビリー・ワイルダー |
第19回 | 我等の生涯の最良の年 | 戦後ドラマ | ウィリアム・ワイラー |
第20回 | 紳士協定 | 社会派ドラマ | エリア・カザン |
第21回 | ハムレット | 文学・ドラマ | ローレンス・オリヴィエ |
第22回 | オール・ザ・キングスメン | 政治ドラマ | ロバート・ロッセン |



『風と共に去りぬ』は、アメリカ南北戦争を背景に描かれる壮大な愛と喪失の物語。スカーレット・オハラの強さとしなやかさ、そして時代の変化に翻弄される人々の姿が圧巻です。3時間を超える長さでも、映像美とドラマの力で最後まで引き込まれます。
1950〜1970年代:社会派・実験的作品の台頭(第23回〜第52回)
この時代は、戦後の社会情勢や文化の変化を背景に、社会問題をテーマにした作品や実験的な映像表現が増え、映画の幅がぐっと広がりました。
リアルな人間ドラマや鋭い社会批評が特徴で、映画ファンにとっても見応えのある名作が数多く生まれています。
開催 | 作品名 | ジャンル | 監督 |
---|---|---|---|
第23回 | イヴの総て | ドラマ | ジョセフ・L・マンキウィッツ |
第24回 | 巴里のアメリカ人 | ミュージカル | ヴィンセント・ミネリ |
第25回 | 地上最大のショウ | ドラマ・サーカス | セシル・B・デミル |
第26回 | 地上より永遠に | 冒険 | マイケル・アンダーソン |
第27回 | 波止場 | ドラマ | エリア・カザン |
第28回 | マーティ | ロマンティック・ドラマ | デルバート・マン |
第29回 | 八十日間世界一周 | 冒険・コメディ | マイケル・アンダーソン |
第30回 | 戦場にかける橋 | 戦争・ドラマ | デヴィッド・リーン |
第31回 | 恋の手ほどき | ミュージカル | ヴィンセント・ミネリ |
第32回 | ベン・ハー | 歴史・ドラマ | ウィリアム・ワイラー |
第33回 | アパートの鍵貸します | ロマンティック・コメディ | ビリー・ワイルダー |
第34回 | ウエスト・サイド物語 | ミュージカル | ジェローム・ロビンス/ロバート・ワイズ |
第35回 | アラビアのロレンス | 伝記・歴史 | デヴィッド・リーン |
第36回 | トム・ジョーンズの華麗な冒険 | コメディ | トニー・リチャードソン |
第37回 | マイ・フェア・レディ | ミュージカル・ドラマ | ジョージ・キューカー |
第38回 | サウンド・オブ・ミュージック | ミュージカル | ロバート・ワイズ |
第39回 | わが命つきるとも | 犯罪・ドラマ | フレッド・ジンネマン |
第40回 | 夜の大捜査線 | ドラマ | ノーマン・ジュイソン |
第41回 | オリバー! | ミュージカル | キャロル・リード |
第42回 | 真夜中のカーボーイ | ドラマ | ジョン・シュレシンジャー |
第43回 | パットン大戦車軍団 | 戦争・伝記 | フランクリン・J・シャフナー |
第44回 | フレンチ・コネクション | 犯罪・スリラー | ウィリアム・フリードキン |
第45回 | ゴッドファーザー | 犯罪・ドラマ | フランシス・フォード・コッポラ |
第46回 | スティング | クライム・コメディ | ジョージ・ロイ・ヒル |
第47回 | ゴッドファーザー PART II | 犯罪・ドラマ | フランシス・フォード・コッポラ |
第48回 | カッコーの巣の上で | ドラマ | ミロシュ・フォアマン |
第49回 | ロッキー | スポーツ・ドラマ | ジョン・G・アヴィルドセン |
第50回 | アニー・ホール | ロマンティック・コメディ | ウディ・アレン |
第51回 | ディア・ハンター | 戦争・ドラマ | マイケル・チミノ |
第52回 | クレイマー、クレイマー | ドラマ | ロバート・ベントン |



『ゴッドファーザー』は、ただのマフィア映画ではなく、家族の絆や裏切り、権力の重さを描いた重厚な人間ドラマ。静かな会話の中に漂う緊張感や、緻密に組み立てられた物語は、何度観ても新しい発見があります。映画史に残る名台詞や名シーンも満載です。
1980年代〜2000年代:ジャンルの多様化と国際化(第53回〜第82回)
1980年代から2000年代にかけては、アクションやファンタジー、伝記映画など多彩なジャンルが映画界を賑わせました。
また、ハリウッド映画だけでなく、国際的な視点や多文化的なテーマが注目されるようになり、映画の世界がさらに広がっていった時代です。
映像技術の進化も相まって、より迫力ある作品が生まれました。
開催 | 作品名 | ジャンル | 監督 |
---|---|---|---|
第53回 | 普通の人々 | ドラマ | ロバート・レッドフォード |
第54回 | 炎のランナー | ドラマ・スポーツ | ヒュー・ハドソン |
第55回 | ガンジー | 伝記・歴史 | リチャード・アッテンボロー |
第56回 | 愛と追憶の日々 | ドラマ | ジェームズ・L・ブルックス |
第57回 | アマデウス | 伝記・ドラマ | ミロス・フォアマン |
第58回 | 愛と哀しみの果て | ロマンス・ドラマ | シドニー・ポラック |
第59回 | プラトーン | 戦争・ドラマ | オリバー・ストーン |
第60回 | ラストエンペラー | 伝記・歴史 | ベルナルド・ベルトルッチ |
第61回 | レインマン | ドラマ | バリー・レヴィンソン |
第62回 | ドライビング Miss デイジー | ドラマ | ブルース・ベレスフォード |
第63回 | ダンス・ウィズ・ウルブズ | 西部劇 | ケヴィン・コスナー |
第64回 | 羊たちの沈黙 | スリラー | ジョナサン・デミ |
第65回 | 許されざる者 | 西部劇 | クリント・イーストウッド |
第66回 | シンドラーのリスト | 歴史・ドラマ | スティーヴン・スピルバーグ |
第67回 | フォレスト・ガンプ 一期一会 | ドラマ・ロマンス | ロバート・ゼメキス |
第68回 | ブレイブハート | 歴史・戦争 | メル・ギブソン |
第69回 | イングリッシュ・ペイシェント | ロマンス・ドラマ | アンソニー・ミンゲラ |
第70回 | タイタニック | ロマンス・ドラマ | ジェームズ・キャメロン |
第71回 | 恋におちたシェイクスピア | ロマンティック・コメディ | ジョン・マッデン |
第72回 | アメリカン・ビューティー | ドラマ | サム・メンデス |
第73回 | グラディエーター | 歴史・ドラマ | リドリー・スコット |
第74回 | ビューティフル・マインド | 伝記・ドラマ | ロン・ハワード |
第75回 | シカゴ | ミュージカル | ロブ・マーシャル |
第76回 | ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 | ファンタジー | ピーター・ジャクソン |
第77回 | ミリオンダラー・ベイビー | スポーツ・ドラマ | クリント・イーストウッド |
第78回 | クラッシュ | ドラマ | ポール・ハギス |
第79回 | ディパーテッド | 犯罪・ドラマ | マーティン・スコセッシ |
第80回 | ノーカントリー | 犯罪・スリラー | ジョエル&イーサン・コーエン兄弟 |
第81回 | スラムドッグ$ミリオネア | ドラマ | ダニー・ボイル |
第82回 | ハート・ロッカー | 戦争・ドラマ | キャスリン・ビグロー |



『スラムドッグ$ミリオネア』は、スピード感あふれる展開と音楽に引き込まれ、最後まで一気に見てしまいました。スラム街からクイズ番組へと続く数奇な人生が、希望と運命の力を信じさせてくれる作品です。
2010年代〜現在(2025年):多様性と新しい表現の時代(第83回〜第97回)
2010年代以降の映画界は、多様な人種や文化、社会問題をテーマにした作品が増え、これまでにない新しい表現や視点が注目されるようになりました。
映像技術の革新とともに、ジャンルの垣根を越えた作品が続々と誕生し、映画の可能性がますます広がっています。
開催 | 作品名 | ジャンル | 監督 |
---|---|---|---|
第83回 | 英国王のスピーチ | 歴史・伝記 | トム・フーパー |
第84回 | アーティスト | コメディ・ドラマ | ミシェル・アザナヴィシウス |
第85回 | アルゴ | スリラー・ドラマ | ベン・アフレック |
第86回 | それでも夜は明ける | 歴史・ドラマ | スティーヴ・マックイーン |
第87回 | バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) | ドラマ・コメディ | アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ |
第88回 | スポットライト 世紀のスクープ | ドラマ | トム・マッカーシー |
第89回 | ムーンライト | ドラマ | バリー・ジェンキンス |
第90回 | シェイプ・オブ・ウォーター | ファンタジー・ロマンス | ギレルモ・デル・トロ |
第91回 | グリーンブック | ドラマ・コメディ | ピーター・ファレリー |
第92回 | パラサイト 半地下の家族 | スリラー・ドラマ | ポン・ジュノ |
第93回 | ノマドランド | ドラマ | クロエ・ジャオ |
第94回 | コーダ あいのうた | ドラマ | シアン・ヘダー |
第95回 | エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス | アクション・ドラマ | ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート |
第96回 | オッペンハイマー | 伝記・歴史 | クリストファー・ノーラン |
第97回 | ANORA アノーラ | ドラマ | ショーン・ベイカー |



個人的に衝撃だった映画は、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』。社会派ドラマだと思っていたら、意外とホラーのようなドキドキ感もあって驚きました。笑いあり、ハラハラありで、最後まで目が離せない作品です。
名作から見るアカデミー賞の傾向と特徴
アカデミー賞の作品賞は、ただ単に優れた映画を選ぶだけでなく、その時代の社会的背景や映画界のトレンドを反映する “時代の鏡” とも言えます。
歴代の受賞作にはいくつかの共通点があり、それらを知ることで映画選びがもっと楽しくなりますよ。
作品賞受賞作に共通するポイント
多くの受賞作は、単なるエンターテインメントに留まらず、社会問題や人間ドラマを掘り下げています。
例えば、『シンドラーのリスト』ではホロコーストの悲劇を描き、『グリーンブック』では人種差別と友情をテーマにしています。
受賞作には名優や名監督が携わっていることが多く、その演技や演出が作品の質を一段と高めています。名演技が映画の感動を大きく引き立てることも特徴です。
時代や国を超えて、多くの人に共感されるストーリー展開が受賞の鍵。人間の感情や葛藤が丁寧に描かれていることが多いです。
受賞作が映画界に与えた影響や評価
アカデミー賞の作品賞受賞は、映画界における大きな評価の証。受賞後は作品の知名度や興行収入が飛躍的に伸びることも珍しくありません。
また、受賞作品が映画の潮流や新しいジャンルの開拓に影響を与え、その後の映画制作に刺激を与える役割も果たしています。
例えば、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の受賞は、ファンタジー映画の評価を大きく押し上げ、以降の大型ファンタジー作品制作に道を開きました。



こうした特徴を知ると、アカデミー賞受賞作を観るときにより深く楽しめますね。映画の歴史や文化も感じながら、名作を味わってみてください。
まとめ
今回は、第1回から第97回までのアカデミー賞作品賞受賞作を一覧でたっぷりご紹介しました。
長い歴史の中で、さまざまな時代背景や社会の変化を映し出しながら、映画界をリードしてきた名作たち。どの作品も、その時代を代表する魅力やメッセージが詰まっています。
アカデミー賞の歴代作品賞を振り返ることで、映画の流れやトレンドが見えてきて、より深く映画を楽しむヒントになるはずです。
まだ観ていない名作があれば、ぜひチェックしてみてくださいね。これからも新しい作品が加わっていくアカデミー賞の世界に、ぜひ注目していきましょう!