映画『汝、星のごとく』レビュー|横浜流星×広瀬すずが描く、15年の愛と選択

汝、星のごとくのサムネイル
©2026「汝、星のごとく」製作委員会 ©凪良ゆう/講談社

映画『汝、星のごとく』を映画館で観てきました。

原作は、凪良ゆうさんの本屋大賞受賞作。以前から気になっていたものの、タイトルや作品の雰囲気から、なんとなく読むのをためらっていました。今回は原作を読まず、ほぼ予備知識なしで鑑賞。

横浜流星さんと広瀬すずさんが演じる、15年にわたる愛と選択の物語。観終わったあとも余韻が残り、エンドロールではRADWIMPSの主題歌「夕星-ゆうづつ-」に涙があふれました。

今回は、心に残った俳優陣の演技や美しい映像、主題歌の魅力に加え、パンフレットやインタビューで知った撮影の裏側も紹介します。

目次

映画『汝、星のごとく』作品情報

  • タイトル:汝、星のごとく
  • 監督:藤井道人
  • 脚本:安達奈緒子
  • 原作:凪良ゆう
  • 出演:横浜流星、広瀬すず、松村北斗、中村アン、濱田岳、尾野真千子、木村佳乃、石田ゆり子、長谷川博己
  • 主題歌:RADWIMPS「夕星-ゆうづつ-」
  • 上映時間:135分
  • 劇場公開日:2026年10月9日

本屋大賞受賞作を映画化

原作は、凪良ゆうさんによる小説『汝、星のごとく』。第20回本屋大賞を受賞し、シリーズ累計170万部を突破した話題作です。

瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。孤独を抱えた二人が惹かれ合いながらも、それぞれの人生で選択を迫られていく姿を、15年という時間を通して描きます。

※作品情報は、公開時点の公式情報をもとに掲載しています。

『汝、星のごとく』あらすじ(ネタバレなし)

©2026「汝、星のごとく」製作委員会 ©凪良ゆう/講談社

物語の舞台は、美しい海と空が広がる瀬戸内の島。京都から島に転校してきた高校生・青埜櫂(横浜流星)と、島で生まれ育った井上暁海(広瀬すず)。家庭にそれぞれの事情を抱える二人は、孤独を分かち合ううちに惹かれ合い、恋に落ちます。

やがて、漫画原作者を目指す櫂は夢を追って上京。一方、暁海は家族のために島に残り、それぞれ違う道を歩み始めます。17歳で出会った二人が、人生の岐路に立ちながら過ごす15年間。

愛する人がいるからこそ選べる道もあれば、愛する人がいても選べない道もある。二人がどんな人生を歩み、何を選択していくのかを描いた物語です。

横浜流星×広瀬すずの演技がすごい!

©2026「汝、星のごとく」製作委員会 ©凪良ゆう/講談社

横浜流星が体重を48kgまで落とした役作り

本作でまず驚いたのが、横浜流星さんの役作りです。高校生から30代まで、15年間の人生を演じるにあたり、横浜さんは体重を増減させて櫂の変化を表現しています。

高校生の頃は62kgまで増やして顔を少し丸くし、あどけなさを表現。上京後は57kg、そして物語の終盤に向けて48kgまで体重を落としたそうです。

15年間という時間の流れを、表情や雰囲気だけでなく、身体そのものでも表現していたんですね。

もちろん、俳優の役作りは体重だけで語れるものではありません。それでも、作品にかける覚悟が伝わってくるエピソードです。

広瀬すずが演じる暁海の揺れる心

一方、広瀬すずさんが演じる暁海も印象に残りました。

家族のために島に残ることを選び、自分の人生と向き合っていく暁海。櫂と同じ時間を過ごしながらも、二人が置かれた環境や選択は少しずつ変わっていきます。

15年という年月の中で変わっていくもの、そして変わらずに残るもの。その揺れ動く心を、広瀬さんが丁寧に演じていました。

木村佳乃をはじめ、共演者の存在感も見逃せない

そして、個人的に印象に残ったのが、木村佳乃さんの演技です。暁海の母親を演じているのですが、いや、あの存在感はすごい……!

物語の中でも強烈な印象を残す役どころで、木村さんの演技が作品に独特の緊張感を与えていました。個人的には、アカデミー賞なら助演女優賞受賞だと思うくらいの圧巻の怪演技でした(笑)。

尾野真千子さんや長谷川博己さんなど、脇を固める俳優陣も実力派ぞろい。主演の二人だけでなく、共演者の演技にも注目してほしい作品です。

15年間を3つの映像で描く。藤井道人監督のこだわり

©2026「汝、星のごとく」製作委員会 ©凪良ゆう/講談社

本作を観て印象に残ったのが、瀬戸内の美しい景色と、時間の流れを感じさせる映像です。実はこの映画、15年間の物語を3章に分け、それぞれ異なるカメラで撮影しているんです。

10代・20代・30代。それぞれ異なるカメラで撮影

藤井道人監督は、櫂と暁海が過ごす15年間を、映像の質感でも表現しようと考えました。

  • 第1章・10代:デジタル一眼レフカメラ「EOS 7D」
  • 第2章・20代:デジタルシネマカメラ「ALEXA」
  • 第3章・30代:35mmフィルムカメラ

興味深いのは、単に時代ごとに映像の雰囲気を変えたわけではないこと。

第1章で使用したEOS 7Dは、藤井監督と撮影監督の今村圭佑さんが学生時代にお金を出し合って購入したカメラ。第2章のALEXAは、二人のキャリアを支えてきたカメラ。そして第3章では、映画人としての覚悟を込めて35mmフィルムを選んだそうです。

二人の映画人生とも重なるカメラの選択。作品の15年間と、監督たちが歩んできた時間がつながっているところに、こだわりを感じます。

撮影監督・今村圭佑とのタッグにも注目

本作の撮影監督を務めたのは、今村圭佑さん。藤井監督とは学生時代からの盟友で、『新聞記者』『余命10年』『青春18×2 君へと続く道』など、数々の作品でタッグを組んできました。

長年一緒に映画を作ってきた二人だからこそ、映像に込めたい思いも共有できるのかもしれません。

本作では、瀬戸内の海や空、島の風景も印象的です。美しい景色を楽しめるだけでなく、登場人物たちが過ごす時間や心の変化まで、映像から伝わってくるように感じました。

35mmフィルムに込められた「時間は巻き戻せない」という思い

個人的に興味深かったのが、第3章で35mmフィルムカメラを使用したこと。

デジタル撮影とは異なり、フィルムは撮影できる回数にも制約があります。藤井監督は、1度きりしか撮れないものを刻んでいくフィルム撮影が、第3章のテーマである「時間はもう巻き戻せない」という思いにも合致すると語っています。

そう知ると、30代を描く映像が、単に年月を重ねた姿を見せるだけではないことに気づかされます。

過ぎた時間は戻らない。それでも人は、これからの人生を選んでいく。

映画を観たあとに制作の裏側を知ると、もう一度映像をじっくり味わいたくなりました。

RADWIMPSの主題歌「夕星-ゆうづつ-」が心に響く

映画を観終わったあと、しばらく余韻から抜け出せなかった理由のひとつが、RADWIMPSの主題歌「夕星-ゆうづつ- / Yuzutsu」です。

エンドロールでこの曲が流れた瞬間、もう涙が止まらない。

物語を見届けたあとだからこそ、歌声やメロディが心に響いて、櫂と暁海が歩んできた15年間を思い返してしまいました。

藤井道人監督とRADWIMPS、3度目のタッグ

本作の主題歌を手がけたのは、RADWIMPSの野田洋次郎さん。藤井道人監督とは、映画『余命10年』『パレード』に続く3度目のタッグです。

今回は監督からのオファーを受け、野田さんが撮影地である瀬戸内を訪れて楽曲を書き下ろしたそう。

映画の舞台となった土地に実際に足を運び、作品と向き合いながら生まれた一曲。そう知ると、楽曲から伝わってくる空気感にも納得します。

エンドロールまで含めて、ひとつの映画体験

映画を観る前は、主題歌について特別な予備知識があったわけではありません。それなのに、物語を見届けたあとに流れる「夕星-ゆうづつ-」が、こんなにも心に響くとは。

映画の余韻を受け止めるような歌声とメロディに、気づけば涙があふれていました。映画を観終わって席を立つまでの時間も、作品の大切な一部なんだなと改めて感じます。

『汝、星のごとく』は、エンドロールの最後まで味わってほしい一本です。

映画『汝、星のごとく』を観た感想|恋愛だけではない、人生の物語

©2026「汝、星のごとく」製作委員会 ©凪良ゆう/講談社

『汝、星のごとく』を観て感じたのは、これは単なる恋愛映画ではなく、人生そのものを描いた物語だということ。

17歳で出会った二人が、32歳になるまでの15年間。若い頃には見えていなかったものが見えるようになり、守りたいものが増え、自分の気持ちだけでは決められないことも出てきます。

大人になるって、思っていたよりも難しい。

好きな人と一緒にいたい。それでも、家族や仕事、置かれた環境など、いろいろな事情があって、思いどおりに生きられるとは限りません。

そんな現実が、二人の人生を通して描かれているように感じました。

自分の人生を選ぶことの難しさ

誰かを大切に思う気持ちと、自分の人生をどう生きるかという問題は、必ずしも同じ方向を向いてくれるわけではありません。

年齢を重ねるにつれて、自分ひとりの気持ちだけでは決められないことも増えていく。

だからこそ、二人がそれぞれ何を選び、何を大切にしようとするのかが心に残りました。観る人の年齢や経験によっても、感じ方が変わりそうな作品です。

瀬戸内の景色とともに描かれる15年間

そして、物語を包み込む瀬戸内の景色も忘れられません。海や空、島の風景が美しく、二人が過ごしてきた時間を静かに見守っているようでした。

15年間という長い時間を描いているからこそ、変わっていくものと、変わらずに残るものの両方が心に響きます。

観終わったあと、すぐに気持ちを切り替えるのが難しい。そんな余韻まで含めて、映画館で観て良かったと思える作品でした。

まとめ|映画館で観て良かった一本

横浜流星さんと広瀬すずさんの演技、15年間の時間を映し出す映像、そしてRADWIMPSの主題歌「夕星-ゆうづつ-」。それぞれの魅力が重なり合い、観終わったあとも心に残る作品でした。

パンフレットやインタビューを通して撮影の裏側を知ると、3種類のカメラを使い分けたことや、俳優陣の役作りなど、作品に込められたこだわりにも気づかされます。

原作を読まずに鑑賞しましたが、物語に自然と引き込まれ、最後には涙があふれました。恋愛だけではなく、人生や家族、自分の選択についても考えさせられる『汝、星のごとく』。

映画館で観て良かった。そう思える一本でした。

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